道と羽
木立 悟




青と金が
近づいてくる
同じ音をたて
原を越える


鉱から鉱へ
したたりつづける青があり
夜をひとくちずつ運ぶ
聞こえない小さな寝息のつらなり


水の底の金の傷
子らは手をのばすがさわれない
名前のような 音の記号のような金
泥のなかへ消えてゆく


昏い地にまたたく生があり
遠くばかりをやわらかくする
たたずむものはとどかぬものを
ただ目を閉じて見つめつづける


空を過ぎるものたちは二度
道ゆく青を白く切り取る
たたずむものに木陰はなく
見えない金に照らされている


指のはざまに満ちる風
あたたかく楕円に鼓動しながら
草になり 羽になり 笑みになり
夜の行方を描いている


青は金を追いぬいて
明るいほうへ去ってゆく
金は羽の手をかざし
たたずむものに陰をつくる














自由詩 道と羽 Copyright 木立 悟 2006-08-09 17:51:46
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