サイレント
霜天

今日は、夏草に混じり
涼やかな声が運ばれていった
どこかずれた休日は
雨に掴まれて、離れられない

人とは違う夢を見ている
そう思いながらもう一度目を閉じると
いつか聞いた歌が繰り返されていく
思い込みは、朝の
回っていく世界に向けて


どうしたって
そんなことを何度つぶやいて
そんなふうに何度靴を履き違えただろう
繋いでいる手を
支えている、手の
温もりを覚えていてくれるから
いつか途絶える風だとしても
明日が送り届けてくれるなら



生きている
その証になりそうな痛みを
誰もが抱えていることを知っている
紡ぐ言葉は、ひとりよりも



静かに、動けない朝
それでも空は円を作り
円い道を直線だと信じる
人たちが
どうしたって、掴まれている世界だから
長い道程の、ほんの小石を蹴飛ばした
逸れた小さな傘は、開いて
ゆうらり浮き、沈みする
こんな日を、雨の朝を、どうにもずれた休日を
誰も知らない時がきても
サイレント、君たちは頷かずに
確かに歩いているはずだから


どれくらい、知っていてくれるだろう
送り届けたはずの痛みを
ほんの小さな朝の夢、を


自由詩 サイレント Copyright 霜天 2006-08-09 01:54:56
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