「 泥濘。 」
PULL.







泥濘から足を抜く。
緩い泥は少し抵抗したが、
やがて諦めたのか、
足を放し、
ぶつぶつと何事かを呟いて、
流れていった。

辺りは何処も濡れていて、
何かしら泥濘るんでいる。

履き物を脱ぎ素足になる。
素足の裏に触れる泥は、
生暖かく、
きりがない。

怒った泥が噛む。
土踏まずが抉れる。
噴き出した血が混ざり、
泥濘は赤く染められてゆく。

赤い泥濘を歩く、
きみは泥濘るんでいる。












           了。



自由詩 「 泥濘。 」 Copyright PULL. 2006-08-08 18:44:13
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