レースフラッグ
たけ いたけ

風が叫びまくってる
声にならないその強烈な空気は
なんにもなくなってる僕の体を色づける

マシーンがひた走るアスファルトには
誰かの命も同じように走っていた

この不飽和で不純である世界は
いつも寄りかかりを求めていた

閉館です
どうやら閉館日らしいのです
やって来た数人は
あっ
気にとられる

な、君
僕は何度も窓の裏側でひらひらする
カーテンを見たんだよ

空気はどこまでも繋がっていそうで
僕の体の中でもう止まっていた
淀んでいた
おはよう

行った瞬間でさえ止まることを知っていたし
分かっていた

ざわめきのどこを切り取ればいいのだろうか
いつも嘘ばかりが目だち
どうやら嘘つきは目立ちたがり
いつも切り取りに四苦八苦する
夜になればどうせ見えなくなるものだから
目立ちたがりも暇を持て余す

カレーライスたべよ
いまここでさ
何のためのカレーライスなのかは知らない
役に立つか立たぬか分からない
店員がレシートをヒラヒラさせた

引き伸びていく道路
どんな物体も伸びきって同じに見える
難しい漢字
難しいリンゴ
新しい石油
野球少年
レースフラッグ

止まっているのも悲しいけど
僕あしたあの草むらに帰りたいよ
そしたらさ
目蓋の上でレースフラッグをちらちら振っておくれよ




自由詩 レースフラッグ Copyright たけ いたけ 2006-08-06 15:34:15
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