慟哭
あおば


泣いたら負ける
負けたら死ぬと
駆けながら思う
空は死んだように青く
水色の冷たい光が落ちてきて
風が回りながら蹲ったように
垣根を検閲しながら
腹を出した蛙の子供達を
踏みつぶして回る
非顕現の営みを終えて
小学校のチャイムが鳴って
どやどやと帰宅する
足の短いアヒルの群れが
誹謗する光を曲げて
キンチョールの液に浸けてから
空に放つ
水色は
輝きを増して
春のような気配を放つ
夏の夕暮れには
消防自動車が
サイレンを鳴らして
疾走していく
追いかけられる子供たちは
火の車に追いつかれて
焼き殺されても
ただ黙っているだけの
足の短い
無法松のような
子供達の姿を眺め
検閲制度を取り入れた
アシナガバチの
飛行船が
何艘も飛んでゆくのを
呆然と眺めている
呆然と言うのは
味が乏しいから
買い手が無くて
腐らせるのも惜しいのですが
知らない人に売りつけるのも
危なくて
監視する必要が生じて
散歩も出来ません


自由詩 慟哭 Copyright あおば 2006-08-05 01:14:53
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