ドラえもん
たもつ



押入れの中で目覚めると
いつものように優しくなってる
手も足もおもいっきり伸ばして
指先の細かい部品までもが
思いやりに溢れている
感謝の言葉は誰に対しても
正確に発することができる
決して争わない
というプログラムは
本当はそんなに難しいものじゃない
けれどそのコードを
自分たちに書き込む術を知らないので
たくさんの人たちが困っている
メガネをかけた少年が
庭で六月の紫陽花を見ている
これから何度その名を呼ぶのか
およそ百年の後
自分が生まれるときには
もうとっくにいないというのに



自由詩 ドラえもん Copyright たもつ 2006-08-03 11:03:36
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