きゃらめる 5
アンテ
きゃらめる 5
よる
1
なにもみえない
から
こわいんじゃない
なにもみえる
はずがない
から
こわいんだ
2
とてもじょうずに
ぷりんができたので
おさらを
えんがわにだしておいた
つぎのひのあさ
かわりに
くろいどろっぷがみっつ
のっていた
3
まちのかたすみで
ごくちいさなすいっちをみつけた
ためしにおしてみると
かち
なにもかもがまっくらになった
もういちどおそうにも
なんにもみえなくて
うおうさおうするうち
かち
あしのしたでおとがした
こわくて
あしがあげられなくて
ゆっくりとうずくまると
かち
おしりのしたでおとがして
ますますうごけなくなった
どれだけまてば
あさがくるだろう
おおい
さけんでみると
おおい
とおくからへんじがきこえた
4
まどのそとで
じっと
こちらをみているひと
こごえるまえに
こっちへいらっしゃい
てまねきすると
あなたこそおいでなさい
おなじしぐさ
しょうがないなあ
ちかづくと
おなじようにちかづいてくる
なのに
まどをあけると
どこにもいない
5
みんながねしずまったあと
くらやみのなかで
みみをすませていると
とんかん こん
そとからおとがきこえる
ひとばんかけて
まちをつくりなおすおと
とんかん こん
あしたははれるだろうか
だまされたふりで
めをとじる
6
たいようが
いつまでもしずまずに
ちへいせんから
こちらをみているので
よるを
すこしだけわけてあげた
よるじゅう
かりこり
とおくからおとがきこえた
7
ありったけの
ふうせんに
よるをつめこんで
そらにはなったのが
じゅうくのふゆ
いまだに
ひるまとつぜん
そらがまっくらになって
しなびたごむが
おちてくる
どうやって
よるをふうじこめたのか
まるでおもいだせないのは
きっと
あのとき
これっぽっちも
たのしくなかったせい
8
ふとんにもぐりこんで
いきをひそめる
めをとじて
つづきはまたあした
きもちをしずめる
よるがあって
ほんとうによかった
いちどにすんでしまったら
もったいないから
ふとんにくるまって
むねのなかの
あついものをたしかめる
またあした
またあした
9
すなどけい
みたいなものだと
おもっていた
さらさら
せかいからよるがこぼれおちて
ぜんぶなくなって
あさがくると
だれかがまた
すなどけいをひっくりかえして
さらさら
せかいによるがふりつもるのだと
おもっていた
むこうがわのせかいと
じゆうにいききできれば
ずっとよるのままでいられるのに
そういうと
みんなきこえないふりをする
ほんとうは
しっているんだとおもっていた
10
ろうそくに
ひをともして
くらやみのなか
みちびいてくれたひと
ろうそくが
もえつきて
みんな
べつのひへと
うつってしまったけれど
くらやみのなか
つないだては
こんなにあたたかい
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