後るれば、月で逢ふ約を違はず、
士狼(銀)

「太陽は暴力だ。
冷房の効き過ぎた教室で
あたしはカーディガンの袖を食みながら
前方伸身2回宙半ひねり
を、決めた燕の
誇らしげな嘴を 遠く眺めていた

あの、三つ子の巣立ちは
母の墜落を見届けることはなく

「太陽は暴力だ。
空になった巣は崩れ始め
太陽に晒された思い出の上で
家を守るかのように腕を広げて
死、を選んだ燕
干乾びた母親はきっと 愛するものと
月の影で再会を果たすのだろう


自由詩 後るれば、月で逢ふ約を違はず、 Copyright 士狼(銀) 2006-07-27 00:43:55
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