ある夏の夢
結城 森士

僕はいつからか
裸足を履くようになった
田んぼの後ろで揺らめく
蜃気楼はオフィス街の
青い結晶だった

暑い…

昨日の夢では七の地蔵が
後ろを振り向く
(赤い涎掛け)
蝶が花に止まり
(警鐘が鳴る)
雨が降って来る
赤い雨

少女は裸足で田んぼを駆けていく
揺らめく光の中で
四の案山子が手招きをする
僕はいつからか
田んぼの中で手招きをしている

それにしても
暑い…

陽炎の中に僕の家が
揺れながら 燃えている


自由詩 ある夏の夢 Copyright 結城 森士 2006-07-26 19:59:17
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