わたしが世界の美しい一部であるために
むらさき

1.その朝

飼っていた鳥を籠から逃がし
ニュースの事件で共に泣き
生ごみはベランダの植物の
肥料として再利用
洗剤を使わず食器を洗い
お風呂の残り湯で洗濯し
手紙の返事を全て書く


2.その昼

お爺さんを駅まで連れて行き
改札口でお婆さんに
切符の購入方法を教え
駆け込み乗客のために
ドアを押さえ
妊婦には席を譲り
降りた駅の階段で
乳母車を運ぶのを手伝い
赤ちゃんが泣いているので
おどけた顔であやす
歩いていたら転がってきた
ボールを拾って返し
信号を待っていたら再び
駅までの道を聞かれたので
そのおばさんと一緒に駅まで戻る
送り届けてからは
環境のため募金箱に小銭を入れ
猥褻出版物廃止の署名をした後
車の邪魔にならないように
なるべく隅を歩き続けて
5分後
雨が降ってきたので
持っていた折り畳み傘に
前を濡れて歩いている人を誘った

3.その夜

電気はなるべくつけず
ロウソクの灯りで過ごした

4.真夜中

世界の
美しい一部であるために

わたしは
わたしのために
両足を広げる










自由詩 わたしが世界の美しい一部であるために Copyright むらさき 2006-07-26 01:25:26
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