最後の郵便。
狠志

かたん、と淋しい音がした。
それを、そっと拾う人が居た。

「ありがとうございます」の代わりに、深いお辞儀。

そして、とぼとべ歩いて行きました。


夕暮れの日差しと、微かに聞こえる蝉の鳴き声が。

ふわっと、涙を連れてきそうになるけど。

また、明日は来るので。

涙は、そっと葉っぱが食べてくれた。



かたん、と淋しい音がした。

おじいさんの背中が見えた。

夜が来た。

ずっとずっと、明けない夜が来た。



自由詩 最後の郵便。 Copyright 狠志 2006-07-25 18:32:37
notebook Home