舞踏
atsuchan69

大理石の階段にひびく
 軽い上品な靴音、
歴史の終焉に迫る
クライマックスの指揮と演奏
 
 人物を物語る影はながく、
 溶けだした気の迷いが 時の針を枉げる。

主役はみごとに不在、誰も登場しない物語に

 タップしつづける靴

遣る瀬ないほどに 魅せられるのは、
呪われた 赤いパンプスを履いて 踊る 虚無

透明な空気の踊る 光、華やぐ広間
赤いパンプスが踊り疲れても
抱きしめてやることも出来ない その刹那、

 僕も踊ろう!

一緒に踊るのが せめて礼儀というものさ

古い教えをみごとに破り、新しく
 生まれては死んでゆく 激しさの舞踏
踵をカカッと、打ち鳴らす 軽やかな動作
超絶な身のこなし つま先のエレガント

 ラ、タッタ、タタ、、
   ラ、タッタ、タカ、タカ、、
       タターン、タ、ターン、

そのうちシャンデリアが落ち、
床に砕け
 粉々に散った クリスタルの美しい残骸を踏み、
火花散る電撃の乱打、
鍵盤を 打つ指のしなやかさ
 悪魔の歓びの伝わる 興奮のさなか、
触れる息づかい

燃えさかる背徳と 美学
 狂おしい 麝香の匂い、ジプシーの女

存在しない君の手をひくと
 さあ、僕たちは階段を駆け上り、
いっきに天まで昇りつめる

 夢。

いつまでも 終わるものか!


自由詩 舞踏 Copyright atsuchan69 2006-07-25 01:25:57
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