いのちの
杉菜 晃


 草の茂みから 
 木の上へ
 さらに
 低空から
 中空へと舞ふ
 一匹の蛍

 漆黒にあらがひ
 淡く
 かぼそき線を曳き
 線といふよりは
 点滅
 ・・・・・・・

 宇宙の
 甚大な闇に
 刃向かふ
 小さき心臓の震へ

 絶え絶え示しゆく

 蛍の

 いのちの

 蛍の

 いのちの

 蛍の

 いのちの

 かそけくも

 ひたすらなる

 いのちの

 細き

 径



自由詩 いのちの Copyright 杉菜 晃 2006-07-22 15:03:48
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