シチリア島に太陽が降り注ぎます。
シチリア島に今日も太陽が降り注ぎます。
シチリア島に遺る文明色をした大理石の上に
今日も太陽が降り注ぎます。

文明色の上に女性が座っています。
太陽がひどくまぶしくても
そんなことが彼女の形而上の何かを揺さぶって
形而下の事象を揺さぶる所作に彼女を導くことは
今のところありません。

大理石から
宇宙みたいな海が見えます。
星のような光の反射が見えます。

彼女は
憂鬱なわけでは決してなくて
文明色の上にキリっと座っています。

世界を２倍に薄めても
私を２倍に濃くしても
何が釣り合うわけでもなく
世界を２乗しても
私の半分を８乗しても
やっぱり何が釣り合うわけでもなく

結局釣り合わないから釣り合っているのだ
と、彼女は変に得心してしまっています。

彼女は大理石の上に座って
どこかに携帯電話で連絡します。

その大理石は
まもなく地中海の古代史を一変させます。

彼女の手は
誇らしげに泥で汚れています。

シチリア島に
今日も太陽が降り注ぎます。

海が
遠くまでキラキラしています。