いのちの糧
銀猫

そのとき奇跡を初めて信じた
この世に無駄ないのちの誕生はひとつも無いのだ




あっ、食べたね
その肉はさっきね、
やわらかく やわらかく揚げたんだよ

ああ
カリカリのドッグフードも
缶詰もたいらげたね

その調子
前脚を踏張ってみよう
怪しい人に吠えてごらん

出来た、出来たね

待っていたよ
信じていたよ
死神なんか噛み付いてやるって

そのまま
パパを呼んでごらん
庭に植えた西瓜の蔓に悪戯してごらん

泥だらけでいいんだよ
臭くたって我慢するよ
きみが
生命の証を見せてくれるなら

さあ、さあ お食べ
明日が待っているから

きみはウルトラマンだ!
世界中で一番かっこいいよ!


   (生命の持つ力をみせてくれた、愛犬に捧げるうた)


自由詩 いのちの糧 Copyright 銀猫 2006-07-19 20:10:32
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