鬼灯
霜天

ささやかな私たちは
長い夜、ごとに膨らんでいく
収まりきれない部屋の、隙間に涙を込めて

名前を、呼ばないで
私たちを訪ねる人たちの
声がはぐれていくから


 月夜に
 ゆっくりと乖離する
 まもなく、汽笛のところまで


ここに、蒔いた種は
結局花は咲かなかった、ね
白く剥がれたベランダ
私たちの隙間に
それは膨らみかけ、の


自由詩 鬼灯 Copyright 霜天 2006-07-17 00:28:25
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