君の河が海に混ざる、その前に
霜天

夜に、時々の夜に
震えるほどに凍えてしまう私なので
留まるために何度か
君を殺したことがある
深い深い、寝息
子守唄はいつもどこから来て
どこへ行くのだろう

私たちは何が怖くて
寄り添って生きているのだろう
子守唄を、歌ってください
溜息のたびに、突き抜ける声が消えていく
何も持たずに、いつか叫んだ
取り残される夢を見て
私の蓋はいつもずれていく


震えている指先と
零れない涙とで
私はいつも寄り添っている
緩やかな流れの川の中に
膝の下までを濡らして
その日も気付かないうちに歌を歌っていた
誰のため、なのだろう
どこへ行くというのだろう
宛てもなく零れた歌のために
君は笑い
時々、泣いたりする


君の河はやがて越えて
今は港で口笛を、吹いている
それが誰のためだとか
私たちは答えられない
いつか混ざっていく君の
寄り添うための声を
消えていく声を
送り届けるその日のために
子守唄を歌いたいので
いつか殺めた君たちのため
許される日の来ることを
その帰りを待ち続けている


自由詩 君の河が海に混ざる、その前に Copyright 霜天 2006-07-16 00:24:24
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