ある葬送挽歌
唯川

オープンカフェで
またもみつけられました
あらかた予測ずみの結果だ

マルボロをくわえ
なにがそこまで
哀しい目をさせるのか

はくはつ
だったので老人と
推測いたしました
なかば確信な反応だ

はじでぼくはピエロのバイトをしている

二日後
はくはつ
じゃなくなったので
いくらか若いだろう

風船からのびた糸を
しっかりと
にぎったまま
もどかしく
グーで拍手した
それはもうしずかに

どっちにしたって
やすらかに逝けば
老衰
なのだから

めずらしくもない
だって
みたことないのだ

ミュージック 
オブ
ジ アコーディオン
きいたことは
あるか

送りだすのに
にぎやかすぎやしないか
なつかしくって
もどってきやしないか

うでをとめて
うえをながむ
たくさんの
おとが
とけているのだ

きこえるかい
きこえて、いるの
ぼくにはみえやしないが
ここにいるから
かなでているから

いつもの席に
マルボロをおいておくよ
あきたらまた来るといい

ぼくは
カフェのはじで
くばっていた風船を
のこらず放ってしまった

こんどはちゃんと拍手できた


自由詩 ある葬送挽歌 Copyright 唯川 2004-02-28 14:49:53
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