砂木

川で 手を洗おうと思ったのは
いたずらに食べた桑の実で
汚してしまったから

新しいランドセルが
川を覗き込んだ後頭部を倒す
沈んだ 目が水を見る
手をのばした
びっくりした友達のいる岸から
遠ざかる

くるりと
水は 巻き込むように流れる
押し出されるように 時々 頭がでて
草に手をのばしても 届かない

助けられたのは 友達が一緒に走って
大人が気づいたから
意識のない私は 
毛布の暖かさで目覚めた

流される水の底の中
草に捕まれば生き延びるとなぜか信じた

すぐには死なない 水の中
助かりたいと思わないわけがない
助けてくれと 手をのばさないわけがない

何も知らずに 死んでいったわけがない




自由詩Copyright 砂木 2006-07-15 05:14:47
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