雨通る、風溜りを越えて
霜天

さあ、消えていこう


ほんの少しの朝食を
僕と君とで分け合ってから
いつもの通りに鍵を閉めて、出かける
いなくなるという夢を見た
そう伝えると
青色の封筒を渡されて
そこだけは、確かに存在していると確認できる


いなくなって、ね
この街はもうすぐ空っぽになるらしいんだよ
明後日には、綺麗な服を着ることが出来る
また、いつもの通りに鍵を閉めていこう
夜になればお互いに誰かを待とう
膝を抱えて、とか
郵便受けには青い封筒
ただいま、とだけ書いておくから



七月を迎えて
君からの雨は、時折
強くなりすぎて
今日も電車が遅れてしまった
指先を払うたびに
僕の足元は少しずつ沈下していく

締め切る部屋の窓を開けると
あちこちに風溜りしてしまった
雑巾で拭こうとすると
吹き飛ばされてしまう
今日中には帰れないかもしれないね
こうして、消えていくのかもしれないね


あれは溜息、だったのかもしれない


例えれば順列のようなもの
いつかだけどって、呼び止めたこと
振り返ることに慣れたなら
いつもの通りに鍵を閉めて
さあ、越えていこう
いなくなるという夢を見た
七月の眠りはいつも青い


自由詩 雨通る、風溜りを越えて Copyright 霜天 2006-07-15 02:17:18
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