わんぴーす
かぜきり

拾ってきた
捨て猫


目を放した隙にじぐそうぱずるを完成してしまいそうになっている
いやしかしどちらかといえば
最後のいっぺんを今まさにはめ込もうとしている
いやしかしどちらかといえば

その瞬間
である

その瞬間

どうでもいい瞬間
ジグソウパズルはほぼ完成しているのだし
そこにあるべき絵姿は
もう何度も確認している
もう何度も

そんな風にあるべく
幾度も確かめてそのようになるべく
はめ込んできた
ほぼ出来上がりの静止
ほぼ完成している切っ先

残してあった1ピース
それ以外

それ以外は
いややっぱりまずい
捨て猫がそれをやっちゃ不味い
不味いです
不味いよ
まずいっす

いやもう
拾われ猫なのだが
拾ってきて3日目なのだ
2日目には洗ってしまったのだ
勢いあまって刈り込みなどトライしたわけなのだ
餌が食べるにはきわどくなってしまったカリカリの食パンで
そのパンくずさえ喜んでいるような顔を捨て猫(拾われ猫一号、名前は検討中)
がしているというような
偶像化をすでに完遂しつつ・・・

偶像化
偶像かなのか
あ、こっちじゃないね(方向指示器を右から左へ)


そうか
ここはひとつ頼むべきなのかもしれない
そのパズルはめ込むの待った!
待って
おくれよ

と懇切丁寧に心を込めて
しかし
しかし相手は猫であって
人語を解するわけでなく
たまに心を通じての猫パンチがちょっと痛い
くらいのことだし
そう
くらいのことだ

よし

たがいちがいの髭におののきつつ私は声をかけた

お願いです
そのワンピースだけは
堪忍してください



にやあ



パズルは完成してしまった
通りすがり猫は笑っていたように思える
そのわんぴーすをもう一度はめなおす愉快さは
私には無いものだし
私にも無いものだし

とりあえずの青ざめた顔で
猫の髭を引っ張りつつ
こう考えたのだ

また終わらなかった



これはやすらぎ































自由詩 わんぴーす Copyright かぜきり 2006-07-12 09:59:59
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