うまくいかない
クリ



ライオンのかかとのにおいを嗅いでみたとして
どんなはばかりが河岸段丘に色づくのだろうね
人はみんな違っているから素晴らしいと言うが
僕だけが愛してもらえない夜は素晴らしくない
みんながみんなが僕だけが僕だけがライオンと
使うたびに少しずつ壊れていく使用禁止の準星
跨がってのそれはこのうえなく突き上がる脈々
うまくいかないと思うとうまくいかないもんだ
変えられないたったひとつの過去と無限の未来
無限に選べる過去と決定しているひとつの未来
そのうちどちらかを選べと言われたらどうする
僕の鮮明な手形の傍らに君の手形のキルリアン
僕の灰白質をインディゴに染める残像は仄かに
幽かにわずかに細やかなバグのキナ臭さに消ゆ
固く踏みしめられた雪道を往けばきみははるか
鼻面から湯気を吹き出す痩せ細ったライオンと
出し忘れた手紙の日に焼けたそのノスタルジー
いつもいつも僕は言えないことを言おうとする
いつまでもいつまでも言えないことを言おうか
邯鄲の夢と伝えたとして君の胸は震えるばかり
刹那 うまくいきたい 扉の向こうのエーテル



                    Kuri, Kipple : 2003.01.23


自由詩 うまくいかない Copyright クリ 2004-02-27 00:29:24
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