遊歩道
霜天

青い目をした窓の向こうの
君かと思うので
遠い朝の海を見せたくなる
手を引いていきながら
引かれている僕の胸の穴からは
いつも空気が漏れていく
見ないでいてくれる君のために
朝の海へ、連れて行きたい

声のするほうへ
いつも声のするほうへ
僕の声がするほうへ、何度でも
傾いていく影だから
丘の上からはね
世界が丸く見える
君の側の僕は
静かに、静かに漏れていく


僕が僕のかたちであるために
夕立の後にはまっすぐに家に帰ろう
夜になれば霧が、屋根の上から降りてくるから
明日には遠い、朝の海を見に行こう、よ
そして少し縮んだ僕を
君は見ないでいてくれるから



空気入れを忘れてしまった
ホースの先をくわえると
海の味がした
それだけで満足するほど
ここに何もない、わけじゃなくて



そして歩く約束は
どこかにあったわけじゃない
崩れていく、それもいい
青い目をした君の見ている
誓いは晴れて流されて
引かれる僕の指先からは
やがて景色が漏れていく


自由詩 遊歩道 Copyright 霜天 2006-07-06 01:24:42
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