ブラックサンド・ビーチ
Rin K

さざなみが月を潤ませて
消してゆく二人の名前
ゆうなぎは心の糸まで
もつらせて切ってゆくのか

灯台も暮れ馴ずめば影にまみれ
境をなくす浜辺と海

こわれた砂の城に波が
さよならを塗りつけてゆく
このままどこまで歩いたら
あなたははぐれるのだろう

満ち潮はひたりと冷たい
夏だというのに素足には冷たい
色のない砂をまといながら
このまま浜辺に深く沈みたい

              波間に深く沈む貝


はかなくも遠くでやまぬ
すすり泣くような波の音に
物足りなさを感じる左腕がつかまれ
溶け出してゆく城まで
また戻される

       すくった乾いた砂は
            静かに零れ落ちるだけ





自由詩 ブラックサンド・ビーチ Copyright Rin K 2006-07-05 01:09:27
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