ブラックサンド・ビーチ
Rin K
さざなみが月を潤ませて
消してゆく二人の名前
ゆうなぎは心の糸まで
もつらせて切ってゆくのか
灯台も暮れ馴ずめば影にまみれ
境をなくす浜辺と海
こわれた砂の城に波が
さよならを塗りつけてゆく
このままどこまで歩いたら
あなたははぐれるのだろう
満ち潮はひたりと冷たい
夏だというのに素足には冷たい
色のない砂をまといながら
このまま浜辺に深く沈みたい
波間に深く沈む貝
はかなくも遠くでやまぬ
すすり泣くような波の音に
物足りなさを感じる左腕がつかまれ
溶け出してゆく城まで
また戻される
すくった乾いた砂は
静かに零れ落ちるだけ