季節を流れる
音阿弥花三郎

押し寄せる声に
紺青の声に
おののく 震える海をおびやかす
流れがある
言うまでもない流れへ
流れてゆく ゆったりとしたパジャマ
の少女
を見送るのは僕だ
僕にはその責任があるから
心という壺があるなら
あふれ出るのはヤスデやダンゴ虫だ

げっ歯類の背にまたがって
少女はやって来るのだ 彼女の
靴下は?
靴下はどうしたのだ?
天井に揺れるのは
幾本もの長すぎる
足だ 
その一本を選んで
激しく引き抜く
僕の行為を裁くのは 少女だ

私は流れる
少女の指の間を
季節外れの入道雲を
抱かせる


自由詩 季節を流れる Copyright 音阿弥花三郎 2004-02-26 14:30:48
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