水を飲ませてください
大覚アキラ

さびしさなんていう気持ちに押し潰されて
圧死するような死に方はまっぴらなので、
心の中で何かを爆発させ続けて
思考のスピードを倍ぐらいに上げてみる。
孤独という言葉のほんとう意味を
膝を抱えて考え続ける48時間。
そんな自分の姿がなんだか可笑しくって
歯磨きもしないでベッドに潜り込んで
ヨダレをいっぱい垂らして眠る。
身体中の水分を全部ヨダレにしてしまうんだ、
涙なんか一滴もこぼれなくなるまで。
渇ききった眠りの底で雨乞いしろ、
大昔のシャーマンみたいにさ。
夢の中でも思考はそのスピードを緩めない。
猛烈なスピードで意味を追い越して、
目が覚めるまでの数時間のうちには
思考は意味を周回遅れにしてしまうだろう。
それでももっと加速して、加速し続けて、
チビクロサンボの虎みたいに
ドロドロに溶けて、流れて、蒸発して、
ほら見ろよ、やっぱり渇いているんだ。
そうか、渇いているからさびしいんだ。
いや、さびしいから渇いているのだろうか。
とにかく、いま、水が飲みたいんだ。


自由詩 水を飲ませてください Copyright 大覚アキラ 2006-07-03 16:45:48
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