羊の匂い
1040

時々この臭いが大地に移ってしまっているんじゃないかと思っている
羊への慈悲は必要ないとあなたが言う
世界がこの臭いを知っているんじゃないかと思っている
私は羊の鎖を外す気は無い 四六時中 握っている
私が遠くに追い遣られても笑っていられるように
継ぎ接ぎだらけの秩序のもとで
愛し合っている って言うんだろうか 私達は

あなたは私を愛していると言うけれども
本当は私は子宮の臭いをさせながら
誰にも気づかれないように毎日気をつけている
これはよくある陳腐な官能ごっこではないと思うと胸が締め付けられる
もし何かの拍子に誰かに気づかれれば、羊を手放さざるを得ない。









自由詩 羊の匂い Copyright 1040 2006-07-03 02:46:44
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