ミルクの匂い ☆
atsuchan69
うら若き
母の乳房が、
贅沢にも
ふたつあった
乳飲み子は
疑わず、
ただ ひたすら
顔を埋めて
果てのない愛を溶かした、
淡い、野生の匂いに
ながく永く包まれている
それは、
大地が渇いた日も
漂い、
雪に閉ざされた日も、
嵐の日も、
暗い夜更けにも、
村が焼きつくされた朝にも
漂っていた、
――女神の匂い。
透けた君の肌が
ますます透明になって
いつか青い星空を映しはじめ
そこに入ると、
やわらかく
安心な匂いが、
やがて全宇宙を覆った
自由詩
ミルクの匂い ☆
Copyright
atsuchan69
2006-06-30 12:03:33