祖国へ行って死のう
しゃしゃり
女にふられたので、
祖国へ行って死のうと思った。
だが俺は日本人なので、
ここが祖国だった。
それはちょっと困るような気がした。
日本は大好きだが、
祖国は遠くになくてはならん。
日本のどこが好きかというと、
女が好きだ。
エロDVDが豊富だし、
ヴァラエティに富んでいる。
こんな国がどこにあるだろう。
タイマ近視なのは、
メガネの俺にはめぐまれないところだが、
おおむね安全で、
おおむね豊かで、
おおむねいいんじゃないだろうか。
サッカーは弱いが、
戦争にも負けたが、
おおむねいいんじゃないだろうか。
だが祖国というのは、
もっともっと、
美しくなくてはならん。
日本の女にふられたのだよ。
俺の墓にはそう書いてほしい。
祖国の言葉で刻んで欲しい。
祖国の同胞は、みな、
日本という国の美しさを思って泣くだろう。
それは素敵だ。
忘れていたが、
大切なことは、日本はご飯がとても美味しいのだ。
それもお墓に書いてもいい。
日本のご飯は美味しいと。
そういえばもう二日もなにも食べていない。
目をつむるとあたたかい味噌汁が浮かぶ。
実家へ帰ろうかと思う。
ひさしぶりに母ちゃんの味噌汁を。
明日は給料日だ。
なんかうまいものが食いたいな。