「夏の思い出」
うつくしい足は流れに浸されて思い出の澄む初夏の温泉
涼しげなうなじを一輪緋の色の鼻緒つっかけ見つけよ花火
小さき子手綱もないのにばしゃばしゃと御者がお水の馬駆るプール
台風や凪の時にも目で聴くの瞬きのおと線香花火
落ち着かない補修授業の窓むこう雲燃やす昼の流星群
罪のある恋は逃避を試みず音だけのする激しい夕立
いくつもの蛾や蝶軽々息絶えて看取る者なく押し黙る蚊帳
ワンピースふわり散り行く夏の花そよ風の尾と遊べ風鈴
物憂げに紺の浴衣をはだけさせ悲しみ帯びるお終いの海
あの色も匂いも音も遠い過去 夏を亡くした冷凍都市
「待っていたつもりはない」
海の中赤いあたしを追ってみてこのスリルまるで金魚すくい
待っていたつもりはない夏、太陽になつこく迫られ氷は半裸
血と水の混じったような汗の味あいつを思い出させるすいか
「夏の哀しみ」
生ぬるい冷やし中華の哀しさはかき回すだけのああ扇風機
重さからこれはビールと思いきや哀しき洗剤ああお中元
夏祭り煙に巻くよに断られ哀しくくゆる蚊取り線香
「なっちーのおとめちっく☆ぱらだいす・夏」
好きでつ(*'(エ)'*)とオタクな君に告られたこの夏最大僕の宿題
「ユーレーのコスプレ祭りをやるんだよ♪」怖いもの見たさで入る墓地
「なっちーのおとめちっく☆ぱらだいす・夏」無理やり観た僕の顔色・青