ひきこもりについて
ken

 最近は、ニートと呼ばれる若者が増えている。64万人とも言われている。30歳以上も半数いるらしい。親に面倒見てもらっているのである。大きな社会問題である。ニートがとりあえず問題なのは、年金を払わないことである。つまり、ニートが増えると年金基金が減少するのである。本人も親も苦しい。今の日本の年金制度は、若者の収入で年金を賄っているからだ。だから、「少子化=収入の減少」という図式が成り立つのである。しかし、年金もそうだが、ひきこもるのは、青少年だけではないということである。ひきこもりの平均年齢が30歳であるということは、30歳以上の人が32万人以上いるということである。その大半の人たちは、どうやって生きているのであろうか?大半は親が面倒をみているということであろう。30歳といえば、親の年齢は50歳とか60歳とかいう年齢であろう。年金暮らしの親に寄生して、生きているのではないか。すなわち、現在の日本の図式は、真面目な労働者が働いて、そのお金で60歳以上の老人とニートと呼ばれる人たちの生活の面倒もみているということである。
 しかし、引きこもれるということは、裕福な人たちなのだ。自分は働かなくていい。家の中に居て、母親や父親のせいにして暴れていればいいのだから。貧しい家庭の子どもは、働かなくては生きていけないから一生懸命働く。自分の嫌な仕事でも何でも頑張る。そうしなければ家族を養えないからだ。
 ひきこもっている人たちは言うだろう。自分達は被害者だ。自分達は悪くない。悪いのは社会だ。悪いのは政治だ。悪いのは母親だ。悪いのは先生だ。悪いのは隣の犬だ。悪いのは自分をこのように作った遺伝子だ。自分は悪くない。絶対悪くない。悪いのは、自分以外の全てだ。悪いのは神だ。
 きっと、そういう人たちは、幸せなんだろう。親が居るうちは。でも親が死んだらどうするのでしょうか?親が先に死んだから親が悪い。しかし、もう居ないのですよ。ひきこもっている君どうするのですか?生活保護を受ければいいのですか?ひきこもっている人たちに生活保護金が出るのであれば、真面目に嫌な仕事でも一生懸命働いている人たちはどうするのですか。そんな社会は本当に嫌な社会ですよね。
 ひきこもる大人が多いということは、日本が裕福で、平和だということである。もし、緊急事態であれば、ひきこもっていられない。大災害がきて、テントで暮らさなければならないのに誰かのせいにして、食べ物がない。水が欲しい。好きなことを言っている奴は、生きてゆけない。誰も面倒を見る暇がないからだ。今の日本は、親が裕福で平和で皆幸せなのだ。
 でも、親の身になってみれば本当につらいのだろう。家に何もしないで、ひきこもっている子どもがいたらどうしたらよいのかわかららない。何かをする意欲がないのだ。ただ、外へ出るのが恐い。人が恐い。対人恐怖症である。親は歳をとってゆくし、収入も減ってゆく、本来なら、ひきこもっている自分の子どもが働いて少しでも家計を助けてくれると思っていた。ところが、自分の子どもは、ひきこもったきり部屋から出てこない。そして、その自分の子どもは、全て親のせいだという。そんなことを言われたって、一生懸命生きてきて、子どもを養ってきたじゃないか。一生懸命働いて、子ども部屋のある家を建てたじゃないか。それなのに、なぜこんな目にあわなければならないのか、親のほうがひきこもりたい気分だろう。親の教育が悪いと世間では言う。しかし、何が悪かったのか、どこが悪かったのか、今となっては全て結果論で議論が始まっている。
 即ち、子どもがひきこもってしまったら親の教育が悪い。どんなでたらめな育て方をしようが、子どもが真面目に働けば、親の教育がよい。という単なる結果論になってしまうと思う。それって、唯の偶然だよね。偶然子どもがぐれなかったからといって、自分の教育が成功したとはいえないと思うね。どうだろうか?本当のところは案外分かってないのかもしれない。そのことは、どんな教育論を聞く上で注意を要する視点であると思う。
 子どもの頃、悪ガキで他人に迷惑ばかりかけていた人間が、成人して真面目に働いているからと言って、若いときの過ちを平気で許すのが日本人である。それでは、若いとき真面目に生きてきた人間が偶々会社が倒産して夜逃げをしたら、その人は悪い人なのか?人に迷惑をかけてはいるが。


散文(批評随筆小説等) ひきこもりについて Copyright ken 2006-06-28 20:06:16
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