ジョニーと風呂へ
しゃしゃり
ジョニーがお風呂へ行きたいと
俺の下宿を訪ねてきたんだ
パチンコで八万円勝ったらしいんだ
四万円ずつで行こうというんだ
川崎まで行こうというんだ
俺は川崎までの電車賃だけでいいんだ
だけど俺は気がすすまなかったんだ
なんでかといえば
好きな女の子ができてしまったんだ
俺にはどうしたって崖の上の睡蓮の花なのだけれど
それでも好きになってしまったんだ
だから他の女とはやりたくないと言ったんだ
馬鹿かおまえとジョニーはいうんだ
おまえはその女とやったのかというんだ
またはいつかやれるのかというんだ
俺はジョニーを汚らしい奴だと思ったんだ
わるいけど俺は行かないと言ったんだ
そしたらジョニーはなぜか
畳につっぷしてワッと泣き出してしまうんだ
そしてうめいていうんだ
俺はどうしても今夜やりたい
何処の誰でもいいからやりたい
それで命がけで玉を打ち
そして八万円勝ったのだというんだ
ひとりで行けよと
俺は言えなかったんだ
ポケットを探って川崎までの電車賃を集めたんだ
電車のなかでジョニーは黙り込んで
通勤帰りのサラリーマンも酒臭かったんだ
窓の外の家の灯りが
俺たちを彼岸の蛍のように誘ってもいたんだ
俺は金は払ったが
やってきた美人だが年増の女に
好きな女の子がいるのでやりたくないと言ったんだ
そうなの、でもお金はおんなじよ、と年増は言ったんだ
いいよと俺はうなずいて
ただ俺がどんなにその女の子のことが好きかって
えんえんしゃべってきたんだ
ジョニーはご機嫌だった
汚らしい奴だとはもう思えなかった
帰ったら銭湯へ行こうぜとジョニーはいうんだ
俺はおかしくてつい笑っちまったんだ
銭湯代は俺持ちさ
とにもかくにも
ジョニーのやつは食えないやつなんだ