赤かった
完食

酸化鉄の黒で
綺麗に染まっている部屋の片隅
赤黒い肉塊を抱いて
愛していると一人呟いた

僕の人差し指をそっと
温もりの失われた君の唇に触れて
君の人差し指をそっと
僕の唇にあててサイコラブを謳う

笑っていた君、動いていた心臓
笑えていた僕、輝いていたナイフ
赤かった血液、暖かかった生命

過去形ばかりのなかで
鳴り響くサイレンと愛しているの言葉だけが
現在進行形、ぽつり


自由詩 赤かった Copyright 完食 2006-06-25 23:56:55
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