秘密の部屋
atsuchan69

裏通りの石畳の坂を つたう雨
 硝子窓をくもらせるのは、ふたりの熱い息、
まどろみに奪われてゆく 美しい君のカラダ
 枕はひとつ。 
 ピンクの縁取りをしたシーツとカバー
シングルベッドしかない、秘密の部屋。

ふり向けば、夏の山 蝉の声、もくもくと湧く白い雲
 麦わらの影 その涼しさ、ふと覗くと微笑む君がいる。

 「雨ダカラ 今日ハ仕事、休ンジャオウ!
 雨だから、カラダ休めよう。だから、カラダ

 「メーテルみたいに 華奢な君のハダカ
 鉄郎みたいに ビンボーな僕のハダカ。

 キスをくりかえす、窓辺に 映ろう傘たちの彩り
 色の滲みが うつくしく変化してゆく石畳の坂。

ふり向けば、あの日 君とくりかえしたキス、
 かつて若かりし頃の僕、いくども傷つきながら

いつしか 止んでしまった、雨
 「もう眠ってしまったの?
そして ふり向けば、ふたたびキス
 シングルベッドしかない、僕たちの部屋。


自由詩 秘密の部屋 Copyright atsuchan69 2006-06-20 22:59:43
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