氷点
ヨルノテガム
限界を4度数えて
手を伸ばし
知らず眠って醒めて
生きている
凍結した雪の結晶と
初めて好きになった中学生の頃の彼女を思い出した
利発そうに振舞い 変わらず明るい子だった
白い面影と向き合いながら
大人じみた「元気かい?」という冴えない挨拶を交わして
未来に向かって一生懸命口説こうとした
のだけど
足元から凝固が始まりだして、モジモジと
ひと言も本心のようなものを言えずに彼女の動作を
見つめてばかりいた
彼女は いつの間にか外国の子供たちの中のボスとなっていて
教室から威勢よく 徒党を組んでワッショイ出て行った
物静かな風がひとしきり吹いて
明るい日差しはさっくり逃げていった
それを目で追う間もなく 氷の柱が私の首のあたりまで
出来上がっていて シビレ出した
何も後悔はしていなかったが「運命・・・・」のはなしを
彼女としたかったと思い 人知れず それをつぶやいた