氷点
ヨルノテガム





限界を4度数えて

手を伸ばし

知らず眠って醒めて

生きている



凍結した雪の結晶と
初めて好きになった中学生の頃の彼女を思い出した

利発そうに振舞い 変わらず明るい子だった
白い面影と向き合いながら
大人じみた「元気かい?」という冴えない挨拶を交わして
未来に向かって一生懸命口説こうとした

のだけど

足元から凝固が始まりだして、モジモジと
ひと言も本心のようなものを言えずに彼女の動作を
見つめてばかりいた
彼女は いつの間にか外国の子供たちの中のボスとなっていて
教室から威勢よく 徒党を組んでワッショイ出て行った

物静かな風がひとしきり吹いて
明るい日差しはさっくり逃げていった
それを目で追う間もなく 氷の柱が私の首のあたりまで
出来上がっていて シビレ出した
何も後悔はしていなかったが「運命・・・・」のはなしを
彼女としたかったと思い 人知れず それをつぶやいた









自由詩 氷点 Copyright ヨルノテガム 2006-06-18 02:50:58
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