ふたり海
明日葉

あおくひろがる海
きんいろの空の境

ひかる波も白雲も
遠くて浜
ふたりで歩いて浜

ただ この一時だけでも
私とおなじく想ってくれれば


仰いではみおろす

  ―(わたしは)しってる

黒い背中があたたかいのを


古いトランクに押し込んだ
共有する時と想い


しめってぬるい風
すあしにからむ砂

はいた息も憂鬱も
霞んで浜
ひとりで戻って浜

ああ まき貝は脆くとも
貴方が捨てなさいと言ったら


誓いも一瞬の快楽

  (わたしも)しってた

しらなかったのは唯の喜劇


そそくさとこしをかがめて
もと来た路へ帰る


自由詩 ふたり海 Copyright 明日葉 2006-06-17 21:33:12
notebook Home