ラブホへ行って死のう
しゃしゃり
毎度のことながら、
女にふられたので、
ラブホへ行って死のうと思った。
どうしてラブホかといえば、
情死かと思われるかもしれないからだ。
死んだ後のことなどどうでもよいかと思えば、
にんげん妙なとこでも見栄を張るものだ。
そんな見栄が俺に格好をつけさせた。
だが格好などつけてもなにもならないのだ。
ブックオフへ行くと、
きもちわるい男が、エロ小説をこそこそ読んでいる。
ロリコンだの近親相姦だのホモだの、
勃てばなんでも同じなのだ。
そして、俺はその男にシンパシーを感じたとも。
この俺が。
中身はなにも変わりはない。
まったくおんなじだ。
俺もエロ小説を立ち読みにきた。
死にたいときはエロ小説に限る。
なんでか、それでも勃つからだ。
だが店のお姉さんが可愛いと、
どうにも買うことができない。
まるで中学生のように恥らっても、
よくよく考えれば、これからラブホに行って死ぬんだった。
そこでエロ小説を買いにレジへ行くつもりが、
どうしても三国志などを買ってしまった。
仕方がないので、
三国志を持ってラブホへ行く。
電車に乗って、歩いていく。
車が発見されてもいいのだが、なんとなく、
ひとりで死にたいと思う。
車さえ、道連れにはしたくないのだ。
どうしてふられたかと、
あなたは俺に問うても、
買ってきたのはスポーツ新聞とたこ焼きとビールだ。
回転ベッドを回転すると目が回る。
鏡張りの天井につくりものの星がまぶしい。
薬をビールで流し込む。
致死量はわからん。
テキトウに飲む。
ぼんやりした頭でスポーツ新聞を見る。
巨人なんてチーム名が可笑しい。
デリヘルに電話してみる。
もうすぐ女の子がくる。
女の子がきたら俺の生い立ちを話す。
ひどい吐き気がする。
げーげー吐いてテレビを見る。
巨人がはかなく倒されている。
俺もベッドに倒れこむ。
なんだか目玉焼きを食べたいと思う。
ムショーに目玉焼きが食べたい。
しかも朝に食べたい。
せめて色が白いこころの優しい子がくるといいと思う。
そして俺の好きな目玉焼きの食べ方について、
話してやろう。