触角
シホ

時空が虚構であることを
何故
僕たちが知らなければならなかったか
知らぬことが
一つの特権でもあったのに
夢の跡をたどり
確かめられるものの
すべてを消し去るために確かめる
片々のひとつひとつを
むしピンで止め
僕たちは飛ばないことを選んだ
眼鏡の強度を
合わせることも
もはや二度とはしないだろう
腹部の筋肉を鍛えたからには
虫のような手足で
這うこともできる
無数の異世界からの
風にかざす触角
時空が虚構であるままに
僕は異界の無数の僕たちと
泣き笑いの合図を交わす


自由詩 触角 Copyright シホ 2006-06-13 00:52:25
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