匂い
万里

まぶたを突き抜けるような明るさに
耐え切れずに目を開けた
先に起きたらしいあなたは窓際にいて
煙草のけむりをほそく吐き出しながら 
晴れたな、と少しうれしそうにつぶやく

目を向けた窓には
夏のような、うすい水色をした空

あなたは吸いさしの煙草をあたしにくわえさせて
目元をほころばせる
その仕草で
今日一日の予定が決まったことに気がつく

きっと数時間後には海のそばにいることだろう
こんな日のあなたは
なんでか
潮の匂いがする気がするから


自由詩 匂い Copyright 万里 2006-06-11 22:47:42
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