ハロン
霜天

望んで、息を止めている
駆け抜けていったのは誰だったのか
その先に生まれない景色を夢見て
地図の見方を覚えていたはずだったのに

信号の変わる瞬間を逃さずに、狙撃する
駅前の海は潮騒を響かせながら行き過ぎる
停止する午後の夢、座り込みたい私は
足を止める術を知りたくて、指先の銃を構える


息を詰める
心音が、あちらこちらへ配達される
ここよりも、あなたにも

そこまでおよそ1ハロンの距離
歓声は起こらない、世界中が息を止めて
ただ、駆け抜けるのを待っている


自由詩 ハロン Copyright 霜天 2006-06-09 00:55:41
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