こども銀行
蒼木りん

みどり色の通帳を持って
図書館の入り口が窓口の
こども銀行

わたしはいつも
青いお札だった

毎回
千円を積む子は
社長の息子

せんせいを
ママと
まちがえて呼んだ

図書館には
お化けが出るといわれていたけれど
古い本の匂いしかしなくて
不思議な話ばかり
本には書かれていて
たとえ憧れても
そこに行けないことを
知っていた
何度も知らされて
今に至る
無感情になってしまった

みどり色の通帳には
たしか木の絵が描かれていて
手書きの金額は
小さな楕円のはんこが押されて
日本は
経済の出納の教育

五百円札は
もういない

タイムマシーンは
学校の屋上に

だから
扉は封鎖されている



未詩・独白 こども銀行 Copyright 蒼木りん 2006-06-09 00:31:03
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