街灯
服部 剛
夜道を一人歩いていた
道の先に立つ街灯が
辺
(
あた
)
りをほの白く照らしていた
街灯の細い柱に
凭
(
もた
)
れると
地面に伸びる
薄ら
哂
(
わら
)
いを浮かべた
私の影
数日前
私の頭の中の小さい
器
(
うつわ
)
に入った水は
誰かの
悪戯
(
いたずら
)
な言葉に
沸騰
(
ふっとう
)
し
波立ち 溢れ
影の瞳には涙が滲んでいた
街灯の
真綿
(
まわた
)
の光に包まれた私の傍らに
朧
(
おぼろ
)
な姿で「ある独りの人」が立っており
耳元で囁いた
( 私の愛に、とどまりなさい・・・
地面にうつむく
私の影
その頭の中の
空
(
から
)
になっていた小さい器には
いつの間に
水が湧いており
私の心は不思議と
凪
(
な
)
いでいた
道の片隅には
草の茂みの暗闇に
一輪の小さい
向日葵
(
ひまわり
)
が立っており
一心に
小さい太陽が咲いていた
自由詩
街灯
Copyright
服部 剛
2006-05-28 00:01:14
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