蒼送
霜天

想いはどこへ連れて行こう
涙はどこで手放そう
忘れられないことばかりを持って
僕らは何度もここに生まれた

円く繋がった道を歩こう
いつまでも終われない街を抜けよう
ガードレールの上で両手を広げながら
舵取りはいつでも君の出番だった

想いをどこまで連れて行こう
泣いたらどこで別れよう
空色の封筒と便箋を買って
晴天に隠せば見つからないから


ここにこうして言葉を並べて
伝える言葉はどこで探そう
投げ捨てたことでも、いつか誰かに
使われるのなら、それはそれで


想いはどこへ伝わるだろう
言葉はどこで行き詰まるだろう
ただ長い直線でバスを待つような
置き去りにされた夢をいつも思い出すから




また
悲しさを答えよう
また誰かが戦い始めるのを
僕らは黙って見ているだろう
何を伝えるはずだっただろう
また別れる、物語を語って
何度目かの夢にもう一度眠ろう
君たちは静かに戦争を始める
僕たちは涼しい呼吸で派兵される
いつか帰る夕暮れに
振り分ける言葉を考えながら
また、悲しさを答えよう
世界が水没する前に




蒼を送ろう
蒼を送ろう
まだ守れない花言葉に
繋がる夢を見る人に
蒼を送ろう
まだうつむく部屋の中から
君の声が突き抜けていくように
ここに、蒼を送ろう


想いはどこまで行けるだろう
涙は零れてもいいだろう
僕らは何度もここに生まれた
伝えていける日のために
ただ蒼を、ここに送ろう


自由詩 蒼送 Copyright 霜天 2006-05-25 01:12:34
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