そうしてインチキな太陽が騙しに来る
鏡文字

眼を閉じて
耳を澄ますと
叫び声が聞こえてくる
何人だ?
4人?
女と男と子供ともうひとつ
何だ?
何をそんなに喚くんだ?
谷は近いが
こだまが反響しあって
一語も聞き取れない
ただ何だか
女と男と子供ともうひとつの何かが
喚き散らしている
俺はよい香りのする煙草を吸って
夜明けを待つ
「助けてくれ」とか
そんな響きではない
どちらかと言うと断末魔に近い
遠い叫び声
女と男と子供ともうひとつ
が 夜通し叫んで
明け方に疲れ果てて眠る
俺はほっとして
灯りを落としてしまう
轟く朝がやって来る


自由詩 そうしてインチキな太陽が騙しに来る Copyright 鏡文字 2004-02-17 08:35:06
notebook Home 戻る  過去 未来