水の羽
木立 悟
雨の天使が
岩の物語を読んでいる
静寂
(
しじま
)
と
静寂
(
しじま
)
を
鳥の声が
継
(
つな
)
ぐ
焼き捨てられた本の煙
地から天へ帰る雨
恵みの恵み
さらなる恵み
森のむこうを染めるむらさき
夜の青と支えの羽
まるくかがやく石を抱く羽
夜の熱と冷気を蹴立てて
光の浪が近づいてくる
ゆっくりと濁り まわる空気が
水たまりの上をうつり棲み
夜から朝へとつづく緑が
生まれたばかりのもののように震える
自由詩
水の羽
Copyright
木立 悟
2006-05-23 13:30:49