二季夜香
木立 悟





雨を見る蝶
草を分ける黒い道
滝の音にふりかえり
光が空を割るのを見る
西の半分がとても暗く
夜風は水のにおいになってゆく



壊れた傘が
春を乗せたまま川を流れ
水は土を崩してゆく
静かに ゆっくりと
湿地を丸く切り取ってゆく



半月をなぞる光のゆがみ
夜の窓をつなぐもの
青は暗さを飲んでは目覚め
地の端々へ降りてゆく
水のにおいが
森のまわりをまわり ふくらみ
白い夏を撒いてゆく












自由詩 二季夜香 Copyright 木立 悟 2006-05-23 01:48:20
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