それでもそれは朝だった
アルビノ


夢をみてた
とおい世界の
雨の日
夕暮れは
どこも同じように訪れるのに
朝が
朝の闇が
いつまでもおわらなかった

夢は
おわるまでおわらなくて
ぼくはいつまでも
朝の闇にひとり
だれもとおらない車道の
だけど静寂はなくて
ぱしゃぱしゃ
ぽつぽつと、
雨の日は騒ぎたてる
いつまでも朝がおわらなくて
いつまでも
ひとりはおわらなくて

もしかしてぼく以外
時間が止まっているのかも、
と思うのに
無情だ
雨はやむことをしらない

この世界はおわらない
うまれたときから
朝も、雨も、
孤独をやめられないでいたんだ
だとしたら
ぼくもこの世界の部品のひとつなら
ぼくもうまれたときから
朝の闇の中で雨に打たれていたんだ
おわることをしらないまま
孤独をはなせないでいたんだ

ひどく寂しいことのように感じた
濡れたコートの肩の染みが、
髪をつたうたくさんの雫が、
ひどく寂しく感じた
朝はおわらないのか、
と問いたいのに
言葉をしらない
「ぱしゃぱしゃ」
「ぽつぽつ」
ぼくの手の中のことばじゃ
寂しさがふかく
なるだけ

朝はおわらないのかい


夢ならはやくさめればいい
たしかにこれは夢なのに
すべてがリアルで
貼り付いた両足の革靴が
どこへも運んでやらないと
呟く


夢をみてた
とおい世界の
背中合わせの現実
夕暮れは
どこも同じように訪れるのに
朝が、
朝の闇が
いつまでもおわらなかった




自由詩 それでもそれは朝だった Copyright アルビノ 2006-05-18 10:32:26
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