波にむかう足跡、僕のものではなく
たりぽん(大理 奔)

誰のものでない足跡が
泥のような海に向かっている
きっと
闇の生まれるところ、
果てと呼ばれる
光、奪われる場所の
刹那の真実を知りたくて

、対消滅
小さな声でつぶやく
今日も遠い波打ち際の
届かない場所に
落陽が置かれて
生き残りたい想いの
温度、遠ざかる赤方偏移
そんな夢の最後を
信じたくない者たちが
帰ってこないのは
どこにもないところに
行ってしまったから

今日も誰かの果てで
ヘリウムを焦がして
陽炎は立ち上り
今日という日は
焼かれて
名残の灰は雨雲に蒔かれる

僕のものでない足跡が
波に立ち向かっていく
雨が降りそうだ
今日も
ほんとう、は
その果てすら
おおいつくして
みたされることがない






自由詩 波にむかう足跡、僕のものではなく Copyright たりぽん(大理 奔) 2006-05-16 21:48:20
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