モノクロームの世界
AKiHiCo

窓際で外を眺める四角い風景
透明な硝子が心を縛り付ける
ここにはいたくない
そう思うのだけど
どうして僕はここにいるのだろう

寡黙に歩く黒衣の参列
白い花に飾られた柩は中心に
誰ひとり涙を流さず
無口に歩いてゆく道程は
死者の悲しい生き様なのだろうか

柩の中で行く先を知らされずに
眠り続ける彷徨える魂
白に身を包んだ抜殻
誰も覚えていないその白の過去は

窓から見える悲しい景色は
いつもモノクロームで
この硝子さえなければきっと
世界はあらゆる色で彩られる
腕を伸ばせば届く
あの空の底さえも容易く

ここは酷く寂しい処
人々の憎しみと悲しみだけが
飛び交う醜い処
僕はそこから動けないでいる
誰もこの体を束縛していないというのに


自由詩 モノクロームの世界 Copyright AKiHiCo 2006-05-15 20:19:51
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