百円玉
暗闇れもん
流れ出る脳髄、お一ついかが?
目が潰れるメチルアルコールいかがかな?
いかがわしいものがいかがわしいものを売るお店
そこはうんざりするほどいかがわしいものだらけで
吐き気がするほど僕にそっくりな店だった
棚に飾られた黴の生えかけた饅頭みたいな君と
不思議そうに見つめる幼い僕の目が合った時
何故僕は、なけなしの小遣いをはたいて
君を買わなかったんだろう
古びた町並みにある古びた店だったから
僕はまるでそこだけが永遠のように感じてしまったのかもしれない
空腹で今にも倒れそうな僕の手に握られた百円玉が
不意に訪れた衝撃で転がりだしても
僕は、ああ、ああと
君があの時叫んだ言葉しか出なかった
薄れゆく意識の中走り去る男の手に握られた僕の百円玉
どうか
今度こそ君を救ってくれ